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世界最大の昆虫〜分類別〜【蝶・カブトムシ&クワガタ・蜂・カマキリ・トンボ etc.】

世界最大の昆虫をまとめました。

 

チョウの中の世界最大、カブトムシの中の世界最大、というふうにグループ別で紹介していきます。

 

現在、昆虫は発見されているだけで約100万種類。未発見のものもまだまだいると推測されます。その中でも、各カテゴリーで最大の種をご覧に入れましょう。

 

  • 2022年3月現在の分類。
  • 一般的にわかりやすくするため、往々にして同じグループのイメージがあるものでまとめました。そのため、分類の階層に揺らぎがあります。例:カブトムシ→亜科   タマムシ→科   狩りバチ→俗称
  • 体の大きさが世界最大、または世界最大級といわれている昆虫の紹介です

 

 

 

鱗翅目(チョウ・ガ)の世界最大種たち

 

アゲハチョウ

 

アゲハチョウ科は、大型のチョウを多く含む分類群。南極大陸を除く全ての大陸に分布。世界中で550種ほどが知られています。

 

アレクサンドラトリバネアゲハ Ornithoptera alexandrae

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アレクサンドラトリバネアゲハは、世界最大のアゲハチョウにして世界最大のチョウ。開長は280mm以上に達すると言われています。(開長だけなら、ドルーリーオオアゲハも匹敵)

 

高いところを飛んでいたのを、散弾銃で打ち落とされたとの逸話もあります。

 

乱獲のため絶滅が懸念されるチョウ。数十年以内には絶滅するのではと言われています。種小名は、アレクサンドラ・イギリス王妃への献名。

 

ゴライアストリバネアゲハ Ornithoptera goliath

 

 

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ゴライアストリバネアゲハは、アレクサンドラトリバネアゲハに並ぶ、世界最大級のチョウ。開長は最大280mmほど、表面積だと本種が世界最大。アレクサンドラトリバネアゲハの絶滅危惧に伴い、本種が世界最大として紹介されることも多いです。

 

種小名は、旧約聖書の巨人ゴリアテに由来。

 

 

モルフォチョウ

 

モルフォチョウ属は、北アメリカ南部から南アメリカに分布。青く種類の鱗粉は構造色を持ち、美しいチョウとして有名です。80種ほどが知られています。

 

タイヨウモルフォ Morpho hecuba

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タイヨウモルフォは、開長200mmに達する、巨大なモルフォチョウ。夕暮れのようなグラデーションの赤い翅を持ち、英名では「サンセットモルフォ」と呼ばれています。

 

 

ヤママユガ

 

ヤママユガ科は、大型のガの仲間。羽毛のような鱗粉に覆われています。1部の種類は、繭から丈夫な絹糸が採取できます。世界中に2300種ほど。

 

カエサルサン Attacus caesar

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カエサルサンは、チョウとガを合わせた、鱗翅類の最大種。開長300mm、表面積300㎠に達します。近縁種のヘラクレスサンも、同等の大きさ。

 

日本最大のガ・ヨナグニサン(アトラスサンの一亜種)も、本種と同じ属。

 

 

ヤガ

 

ナンベイオオヤガ

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ナンベイオオヤガも最大の鱗翅目の一種。翅が横に細長い分、表面積は最大級のヤママユには劣りますが、開長なら本種が世界最大。最大で300mm以上になります。

 

 

 

【補足】世界一重い鱗翅目

 

鱗翅目の大きさを比べる上では、基本的に開長が比較対象になります。補足で、体重が最大の種も紹介します。

 

Endoxyla cinereus

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ボクトウガの一種で、体重30gになります。開長は230mmほど。





 

鞘翅目(甲虫)の世界最大種たち

 

カブトムシ

 

カブトムシ亜科はオスの角が特徴的で、コガネムシ科の中の1グループ。オス同士の戦いに角を使うことが多いが、装飾としての役割のもの、角を持たないものなど、様々です。世界中に1000種ほど。

 

ヘラクレスオオカブト Dynastes hercules

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ヘラクレスオオカブトは、全ての甲虫の中での最長種。大型個体では角の長さが体の半分を占め、自然下では最大178mmの個体が確認されています。

 

 

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クワガタ

 

クワガタムシ科は、オスの大顎が特徴の甲虫。小型種の中には、クワガタには見えないようなものも多いが、実は触角の形で分類されています。世界中におよそ1500種。

 

ギラファノコギリクワガタ Prosopocoilus giraffa

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ギラファノコギリクワガタは、最長のクワガタ。巨大な大顎の内側には、目を引く1対の内歯が存在しますが、よく見ると位置が若干ずれており、左右非対称なことがわかります。自然下では、最大118mmの個体が確認されています。

 

ギラファはキリンの意。

 

 

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ハナムグリ

 

ハナムグリ亜科は、ハナムグリ、カナブン等に代表される、コガネムシ科の1グループ。飛翔の際に前翅を開かずに、腹部との隙間から後翅を出して飛ぶことができます。約4000種。

 

レギウスゴライアス Goliathus regius

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レギウスゴライアスは、ゴライアスオオツノハナムグリと呼ばれるアフリカの巨大ハナムグリの最大種。同時にハナムグリ最大種であり、すべての昆虫の中で最も重い種類です。最大体長115mm、体重100g。別名レギウスオオツノハナムグリ。

 

カミキリムシ

 

長い触覚と、大顎が特徴。

 

タイタンオオウスバカミキリ Titanus giganteus

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タイタンオオウスバカミキリは、南米の巨大カミキリムシ。ほぼボディーの大きさだけで最大167mmに達し、角を含めたヘラクレスオオカブトの全長に匹敵する大きさです。これほど目立つ虫であるにもかかわらず、生態については、ほとんど分かっていません。

種小名はギリシア神話のティターンに由来。



 

ゾウムシ

 

ゾウムシは、甲虫の中で最も種類の多い科。60,000種類がいると言われています。宝石のように美しいものや、昆虫で最も硬い体を持つ種類を含みます。

 

タイショウオサゾウムシ 

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昆虫写真家・森上信夫の ときどきブログ マレーシアの虫たち(第2回)


タイショウオサゾウムシは、80mmに達する最大級のゾウムシ。高級感のある赤い鮮やかな色をしていますが、死ぬと黒くなります。



 

タマムシ

 

タマムシは、美しい昆虫の代表。ヤマトタマムシなど1部の種類は、構造色により金属光沢を放ち、見る方向によって色を変えます。世界で15,000種類ほど。

 

オオルリタマムシ Megaloxantha bicolor

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飯島和彦 on Twitter

 

オオルリタマムシは、70mmに達する、東南アジアの巨大なタマムシ。色彩は個体差があり、美しい種類です。本種の他にも、Megaloxantha属の近縁種に同じ位の大きさのものもいます。

 

 

糞虫

 

糞虫は、動物の糞を食べる甲虫の俗称。黒くて大きなダイコクコガネ、金属光沢のある鮮やかな色彩を持つセンチコガネなど、様々なグループを含みます。

 

オウサマナンバンダイコクコガネ Heliocopris dominus

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【和名】オウサマナンバンダイコクコガネ

 

オウサマナンバンダイコクコガネは、角を持つ糞虫ダイコクコガネの仲間。アジア象の糞を餌にします。体長55mm。

 

 

膜翅目(ハチ)の世界最大種たち

 

狩りバチ

 

狩りバチは、幼虫の餌のために他の虫などを狩ります。単独性のもの、社会性を持つものがいます。

 

オオベッコウバチ Pepsis, Hemipepsis

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オオベッコウバチのなかまは、最大の狩りバチであると同時に、世界最大の蜂といわれています。世界最大のクモのオオツチグモを狩り、幼虫の餌にします。体長60mm。

 

 

中国産オオスズメバチ(仮)   Vespa mandarinia

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2017年に中国で発見されたオオスズメバチと見られる蜂。日本に生息するオオスズメバチと同種か、もしくは新種かどうかはまだわからないようですが、既知の蜂の中で最大級なのは確実でしょう。

 

 

アリ

 

アリは、蜂のなかま。一見すると別の生物に見えますが、オスなど翅がついた状態のアリを見ると、スズメバチのなかまに似ています。群れの中に不妊の階層がある、真社会性を持つ生物です。

 

ディノポネラ Dinoponera gigantea

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ディノポネラ、ディノハリアリの名前で知られる、世界最大のアリのグループ。その中でもDinoponera giganteaは最大種。働きアリは、体長40mmに達します。

ディノポネラは、女王アリが存在しません。代わりに、コロニーの中で最も階級の高い働きアリ(アルファアリ)が生殖機能を持ち、産卵します。

 

ハナバチ

 

花粉や蜜を食べる蜂の仲間です。ミツバチやクマバチなどを含みます。

 

ウォレスズ・ジャイアント・ビー Megachile pluto

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1981年に発見されるまでは、絶滅したと考えられていました。2019年には、生きている姿が撮影されました。大顎が発達するのはメスだけです。体長38mm。

 

 

ヘビトンボの世界最大種

 

ヘビトンボは、およそ300種が知られています。幼虫は、肉食の水生昆虫。日本では、清冽な水質であることを表す指標生物として知られています。

 

Acanthacorydalis fruhstorferi 

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中国四川省で発見された、巨大なヘビトンボ。開長210mmになり、飛べる水生昆虫の中で最大です。地元の人が発見したよう。

 

 

双翅目(アブ・ハエ・カ)の世界最大種

 

 

Gauromydas heros

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ムシヒキアブモドキの一種。最大体長70mm。

 

 

半翅目(セミ・カメムシ)の世界最大種たち

 

セミ

 

短命の代名詞のように扱われる昆虫、セミ。往々にして成虫は1週間の命と考えられていましたが、実は1ヵ月ぐらい生きることがわかってきました。セミ上科は3,000種類近くが知られています。

 

テイオウゼミ Megapomponia imperatoria

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テイオウゼミ - SARAWAK PHOTO GALLERY

 

体長70〜80mm、開長200mmに達する世界最大のセミ。夕方に鳴きます。ヒグラシに近縁な種類です。

 

 

 

トンボ目の世界最大種たち

 

トンボ目の虫は、肉食性のハンターとして知られています。幼虫(ヤゴ)は、水生。古生代には、開長600mmに達する巨大なトンボが生息していました。

 

ハビロイトトンボ Megaloprepus caerulatus

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ハビロイトトンボは、造網性のクモを捕食します。網に体当たりし、落ちてきたクモを捕まえるという習性があります。ヤゴは樹洞に生息します。

開長190mmに達する最大のトンボです。

 

 

ジャイアントホーカー Tetracanthagyna plagiata

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開長163mmに達する、最大級のトンボ。

 

 

テイオウムカシヤンマ Petalura ingentissima

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テイオウムカシヤンマも、世界最大級のトンボです。体の長さはむしろ本種の方が長く、150mmになります。

 

 

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バッタ・カマキリ類の世界最大種たち

 

緑や茶色で植物に擬態している種類が数多く見られます。

バッタやカマキリの仲間は、現在の分類学の区分ではそれぞれ別の目に分類されていますが、日本の一般的な感覚だとまとめられることが多いので、一まとめにしました。

 

バッタ

 

(最大絡みの雑学ですが、)一部のバッタは、個体の密度が高くなったときに「群生相」という個体変異が起き、大発生を生みます。サバクトビバッタの群生相は、「世界最大の動物の群れ」としてギネス世界記録にも認定されています。

 

シタベニオオバッタ Titanacris cristata

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嫌虫展 長崎 バイオパーク ② あーと | FONLLYさんのブログ

 

南米に住む、赤い翅の大きなバッタです。最大体長120mm、最大開長230mm。Titanacris属には後翅が美しいものが多く、他にも紫の後翅をもつ種もいます。

 

 

ナナフシ

 

木の枝に擬態していると考えられます。翅が退化して飛ぶことができないグループ、飛ぶことができるグループがいます。

 

フリーガニストリア・チャイネンシス・ツァオ Phryganistria chinensis Zhao

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既知の昆虫の中では、世界一体長のある種類。2014年に中国・四川省で発見されたこの巨大ナナフシは、体長624mmあります。

 

 

キリギリス

 

ニューギニアオオコノハギス Siliquofera grandis

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体長130mm、開長250mmに達します。本種の他にも、アシナガオオコノハギス(Arachnacris corporalis)など、同等の巨大なキリギリスはいくつか知られています。

 

 

カマキリ

 

オオカレエダカマキリ Paratoxodera cornicollis

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ドラゴンマンティス!: 三足のわらじ

 

ドラゴンマンティスとも呼ばれる、世界最大のカマキリ。200mmに達します。

 

 

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ゴキブリ

 

ゴキブリはカマキリに近い仲間。人の生活圏に入る種類は、不快害虫といえるでしょう。生きた化石です。

 

(G画像注意)

 

ヨロイモグラゴキブリ Macropanesthia rhinoceros

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この巨大ゴキブリは、体長80mmに達します。羽が退化して飛翔能力がなく、動きは素早くありません。最も重いゴキブリです。

 

メガロブラッタ Megaloblatta longipennis

 

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体長97mm、開長200mmになる、世界最大のゴキブリ。