イグアノドンの復元の歴史、イグアノドンの復元図の変遷を見ていきます。
こどもから大人まで多くのファンがいる、恐竜。しかし、彼らをこの目で見ることはできません。だから実際のところ、彼らがどのような姿だったかは誰にもわかりません。 それゆえ恐竜の復元図は研究や発見が進むにつれ、二転三転その姿を変えてきました。
というわけで、恐竜の復元図に焦点を当て、特に姿が大きく変わったものを紹介していきます。本記事で焦点を当てるのはイグアノドンです。
イグアノドンは、人類の恐竜史の中で、最初期に発見された有名な恐竜です。ディズニー映画ダイナソーでも登場しました。このイグアノドンの復元は、恐竜研究黎明期ゆえの変遷を見せたことで知られます。
【復元ミスで有名】イグアノドンの復元史・復元図の変遷
イグアノドンの研究歴史は、1821年、イギリス人医師マンテルが何かの歯らしき化石を発見したことに始まります。
マンテルは1822年、フランスの動物学者ジョルジュ・キュヴィエに鑑定をしてもらいます。鑑定の結果、「サイの門歯」とのこと。
この結果に納得のいかないマンテルは、自身で調べ、例の歯が爬虫類のイグアナに似ていることに気付きます。ただし、それはイグアナよりはるかに巨大なもの。これにより、大昔には何らかの巨大な爬虫類が存在していた、とわかってきたのです。
そして1825年、この爬虫類は「イグアノドン(イグアナの歯)」という学名で記載。これが、人類の恐竜の研究の幕開けとなるのです。
イグアノドン復元史①1825年〜1878年:鼻先に角(最初期)
そして、記念すべき「世界初の恐竜の姿の想像」である、イグアノドン最初期の復元図。
この最初期の復元図は、マンテル自身が復元したもの。当時は体長70メートルにも及ぶ、巨大な植物食爬虫類と考えられていました。
この最初期の図は復元ミスで有名。鼻先に角のようなものがついています。マンテルは、当時見つかった円錐形の骨を角だと予想しましたが、後になって全くの誤解だったことが明らかになります。
イグアノドン復元史②1878年〜:親指スパイク・二足歩行
1878年にベルギーのベルニサール炭鉱で、新たにイグアノドンの化石が発見されます。その数、31体。全身の骨格が手に入りました。これにより、復元図も大幅リニューアル。例の円錐形のブツが、スパイク状の親指の骨だったことが判明しました。
この段階の復元図は、ゴジラのような直立二足歩行に近い姿勢。当時の復元ではイグアノドン(植物食)の他にも、肉食恐竜は皆そろってゴジラ型でした。
イグアノドン復元史③:四足歩行へ
全身骨格が発見されたイグアノドンですが、復元ではもう1段階大きな変遷があります。ゴジラ型だった姿勢は水平な四足歩行へと変化します。
以前は、後脚の方が長い恐竜は、尻尾を引きずり直立二足歩行に近い姿勢だったと考えられていました。しかし研究が進むにつれ、しっぽでバランスをとり、頭と尻尾が水平な姿勢だったということが判明。イグアノドンも例に漏れず、水平な四足歩行の姿勢で復元されるようになりました。これが現復元です。
イグアノドンのスパイク状の親指は、どんな役割だった?
ところで、復元ミスの元凶・スパイク状の親指は、どんな役割だったのしょうか?記念すべき人類史上初の恐竜の復元図をめちゃくちゃにしたコイツの役割とは…
説①:護身用の武器
説②:餌の植物を摂るため
主に、この2つの説が挙げられています。有力なのは①のようで、短刀のようにして相手の目に突き刺したとも。
ちなみにイグアノドンの手の指は5本あり、機能が分化して便利なものだったようで、
- 親指:スパイク状、護身用の武器
- 真ん中3本:ひづめ状、体重を支える
- 小指:曲がる、植物を摂る
このように使い分けられていたようです。
今回は以上です。ありがとうございました。