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スピノサウルスは弱い?ジュラシックパークでの最強は幻?

22映画「ジュラシックパークⅢ」で最強TーREXの首をへし折り、一躍「最強の肉食恐竜」として世間に認知されるようになったスピノサウルス。

 

ところが、近年スピノサウルスの研究が進み、ジュラシックパークの頃とは大きく異なる姿であったことが判明。「実際は弱かったのでは…?」と恐竜ファンがざわついてます。

 

最新のスピノサウルスについて見ていき、「スピノサウルスは最強なのか?それとも弱かったのか?」見定めていきましょう。

 

 

 

スピノサウルスは弱い恐竜だったのか?ジュラシックパークの最強の姿は幻…?

 

スピノサウルスが弱い恐竜と言われるようになった理由。それは、「研究が進展したことで、推測される復元図や生態が以前と変わった」こと。

 

ジュラシックパークの頃は、ティラノサウルスのごとき”ザ・肉食恐竜”な姿であったと考えられていました。

 

▼ジュラシックパークの頃の想像図

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長い後脚、細い尾、半円状の帆。いかにも獣脚類っぽい見慣れたスピノサウルス。これは間違いなく、強そうです。この姿で、ティラノサウルスよりも1回り以上デカいのですからねぇ…。

 

勝たせたくもなります。

 

▼弱体化が噂される最新スピノサウルス氏がこちら

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Wikipedia

 

随分と印象が違いますね。短い手足、ヒレのように太い尾、バショウカジキのような長方形の帆。ジュラシックパークのころの面影はありません。この復元図が、「スピノ弱いんじゃね?」説の犯人と思われます。

 

昔は陸棲肉食動物と考えられていましたが、2021年の現在では水棲魚食動物として考えられるように。水棲生活に適応した姿で復元されるようになりました。

 

これはこれでバランスがいいんですよね。進化の結果洗練された、自然が創るデザイン。「背鰭のある14mの巨大ワニ」と考えると、強そうじゃないです?

 

 

 

 

 

 

スピノサウルスの噛む力は?

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Wikipedia

 

さて、実際のスピノサウルスの強さについて、見定めていきましょう。

 

まずは咬合力。肉食恐竜の強さを推測する上で、噛む力は重要な要素です。スピノサウルスの咬合力はどれくらいだったのでしょうか?

 

もちろん、絶滅しているので実測することができません。あくまで推測の範囲ですが。

 

 

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▲インドガビアル Wikipedia

 

スピノサウルスの頭骨の形は、現世のワニ、特にガビアルに近いとされています。

参考までに、現生のワニで最強のイリエワニ(体長6m・体重1t)の咬合力は、約600kg/㎠。最新の研究でのティラノサウルス(体長12m・体重6t)の咬合力は、約900kg/㎠。ちなみにスピノサウルスは最大推定で体長18m・体重20t。

 

スピノサウルスの噛む力に関する研究は、調べてもヒットしなかったのですが、、上記だけを比較するとティラノサウルスよりも強いのでは?と感じます。

 

一方で、スピノサウルスの顎の、横方向の耐性は、現世のワニよりも弱かったようです。また、首の構造などがワニと恐竜では根本的に異なり、単純に骨の形や体のサイズだけで比較することができないように思います。

 

細い頭骨の形状・魚食性であることも加え推測すると、「少なくとも同サイズの肉食恐竜に比べると咬合力は弱かったのでは?(強い必要性がない)」と考えるのが自然ではないでしょうか?

 

どっちかと言うと、現世のワニが強すぎる咬合力に進化した、というほうがしっくりきそう。

 

▼こちらの記事でも、ワニの咬合力の強さについて言及されています

ワニの噛む力は地球で最強、実測で証明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 

 

スピノサウルスの凶暴性は?

 

どの程度凶暴で好戦的か?も、肉食恐竜の強さを左右するでしょう。

 

ジュラシックパークでは獰猛な肉食恐竜として描かれていた、スピノサウルス。スピノサウルスは実際のところ、どのような性質の恐竜だったのでしょうか?

 

スピノサウルスは主に魚を捕食していたと考えられています。その証拠に、スピノサウルスの歯型がついた巨大エイの化石が見つかっています。

その一方で、イグアノドンと思われる化石がスピノサウルスの胃の中から見つかっており、完全な魚食ではなく陸棲動物も捕食していたことも示唆されています。

 

完全な魚食恐竜よりは獰猛であったかもしれませんが、積極的に狩りをするほどではなかったようです。背中の大きな帆も、激しい狩りや戦いには向いていないように思われます。

 

(生息地域や年代の違いから実際に会う事はなかったでしょうが)、ティラノサウルスやギガノトサウルスといった同等に近いサイズの肉食恐竜と争うことがあったなら、スピノサウルスは引き下がるのではないかと思います。

 

まぁ、陸上用の体型でないのも、不利でしょうしねぇ、、。逆に何かのきっかけで、水場で争うことになったら、スピノサウルスが有利だったかもしれません。

 

▼不安定な地面を歩きやすいように、波打った足の裏だったそう

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Wikipedia

 

 

とはいえ、発見によって二転三転学説が変わるのが、古生物学。発見や研究に進展があったら、今回の内容は過去のものになります。

 

スピノサウルス氏の今後について、見守りましょう。