あ〜るぐれいはいかが?

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ティラノサウルスの狩り|単独or集団・腐肉食説の行方・カルカロドントサウルス科との比較

 

ティラノサウルスの狩り

 

※前提として、恐竜など絶滅した生物の生態は実際に見ることができないため、確実にこうだったと断言はできません。現在の学説も推測の範囲です。

 

社会性

 

ティラノサウルスは、現生のトラのように、単独で狩りをしていたという説が主流でした。
単独狩り説が唱えられていた理由には、協力して狩りを行なえるほどの知能があるか疑問視されていた、というものもあります。

 

しかし近年では、近縁のアルバートサウルスの化石が固まって見つかったりしており、ティラノサウルスも集団生活をしていたのではないか?という考えも広まりつつあるよう。集団での狩り説も唱えられています。

 

獲物

 

自分のサイズと同等もしくはそれ以下の大きさの獲物を専門にしていたと考えられています。(エドモントサウルスなど巨大な鳥脚類、トリケラトプス等)

トリケラトプス(角)やアンキロサウルス(尾のハンマー)といった、強力な防御手段を持った植物食恐竜も狩っていました。それゆえ反撃を受けることもあったようで、トリケラトプスの角の反撃を受けて負傷した跡が残る化石(Lee rexと呼ばれる個体)も見つかっています。

 

ちなみにトリケラトプスの背中の筋肉は巨大な頭部を支えるために発達しており、ティラノはその肉の味が好きだったのではないか?ともいわれているようです。ティラノサウルスグルメ説。

 

方法

 

ティラノサウルスは、最大30cmに達する巨大な歯と、陸上動物で史上最強ともいわれる咬合力を持っていました。獲物が比較的小型で、短時間で仕留めていたと考えられています。

 


腐肉食説はどうなった?

 

恐竜好きなら、「ティラノサウルスは狩りをせず、腐肉を食べていた」という説を聞いたことがあるかもしれません。

これは、大型肉食恐竜の歯があまり摩耗していないことから生まれた説のようで、一時期はティラノサウルスなどの大型種は狩りをしていなかったと考えられていたこともありました。

 

腐肉食説の起源は1917年、ローレンス・ランベが提唱したことに遡るそう。近年では、アメリカ人古生物学者ジャック・ホーナーがスカベンジャー説を唱えています。

 

現在では否定されつつあり、理由としてティラノサウルスが狩りを行っていた証拠が多数発見されているから。

トリケラトプスやエドモントサウルスの化石から、ティラノサウルスに噛まれた後も生存し、治った跡が発見されている
ティラノサウルスの化石から、トリケラトプスの角の反撃の傷と思われる痕跡が発見されている
ハドロサウルス科の化石から、ティラノサウルスの折れた歯が発見されている(交戦した跡と考えられている)

 

など。

 

尚、意外なことに、実際には「ティラノサウルス腐肉食説」についての論文自体は書かれておらず、学説としては存在しないようです。一般向けの出版物やTVなどで紹介されることが多く知名度は高いものの、学術的にはその程度の信頼度の説、というくらいの認識でいいのかもしれません。

 

  • 単独(集団の可能性も)
  • 自分と同等同等以下
  • 短時間で仕留める

 

 

*

ちょっとだけ筆者の考え

 

個人的には、「ティラノサウルスは、子が生体に近い体格に成長するまでは家族で暮らしていたのでは?」と思っています。

 

というのも、、。ティラノサウルスの大人は体長13m・体重8t、おそらく陸上の二足歩行動物の限界値に近い大きさだと思います。ティラノサウルスの走る速さについては様々な説がありますが、あの巨体ですから、少なくとも小回りが利くような俊敏な動きはできなかったでしょう。
対して、ティラノサウルスの亜生体は骨格が細く、おそらく体重も軽かったと考えられるため、小型〜中型肉食恐竜のごとく、俊敏な動きができていたでしょう。実際、大型肉食恐竜は、成長の過程で体格がかなり変化することがわかっています。

 

こうなってくると、もしティラノサウルスの若い個体が、軽快な体格のまま独り立ちした場合、その生態はまるで「別種の中型肉食恐竜」のような振る舞いになると予想できます。すると、成体と亜生体があたかも別種の肉食恐竜同士のような関係になってしまうのでは?と考えられるのです。

 

同じ種であるにもかかわらず「大型肉食恐竜としての”強大で重鈍”な成体vs中型肉食恐竜然とした”小柄で軽快”な亜生体」の餌の奪い合いの構図ができてしまい、どちらが勝っても種が滅ぶことになりかねません。

 

という理由で、「ティラノサウルスの亜生体は、成体に近い体格になるまで家族と共に行動するのが、種にとって最善」なのでは?と思うのです。

*

 

 

ティラノサウルス以外の大型肉食恐竜の狩りは?【ティラノサウルスとカルカロドントサウルス科の狩りの比較】

 

ティラノサウルスと対極のスタイルの狩りをする大型肉食恐竜として、しばしばカルカロドントサウルス科が引き合いに出されます。

 

カルカロドントサウルス科…ギガノトサウルス・カルカロドントサウルスなど、ティラノサウルスと同等以上の体長のものを含む、大型肉食恐竜のグループ

 

カルカロドントサウルス科の狩りの特徴として考えられているのは以下。

  • 集団
  • 自分より大型の獲物
  • 歯で傷をつけ失血死を待つ

 

これらはティラノサウルスの狩りの特徴と全く異なります。これは身体的特徴や環境と関係があります。

 

例えば、ギガノトサウルス(13m・8t)が生息していた白亜紀前期の南米には、既知の史上最大の陸棲動物アルゼンチノサウルス(45m・80t)が存在していました。これほど巨大な獲物を仕留めるには、当然ながら集団でなければ太刀打ちできないでしょう。

 

また、ギガノトサウルスはナイフのような薄く鋭い歯を持っていました。この歯で獲物の体に傷をつけ出血させ、やがて失血死したところを食べる、という狩りを行っていたと考えられています。獲物が巨大なために、この狩りのスタイルが最適だったからの進化でしょう。それゆえ、咬合力はティラノサウルスと比べると劣っていたと考えられます。
(そこまで必要性がなかったということ。とはいえ決して彼らの力が弱かったわけではない)


これに対しティラノサウルス(13m・8t)の生息していた白亜紀後期の北米の植物食恐竜は、最大でもエドモントサウルス(15m・)程度。瞬時にパワーで仕留めるのが最適だったのだと考えられます。巨大な歯と強力な咬合力は、そのため進化したものでしょう。

 

 

ティラノサウルスの狩りについてまとめ

 

最後にまとめておきます。

 

ティラノサウルスの狩り

単独(集団の可能性も)

自分と同等同等以下

短時間で仕留める

 

✅カルカロドントサウルス科の狩り(比較)

集団

自分より大型の獲物

歯で傷をつけ失血死を待つ

 

ティラノサウルスは人気の恐竜なのもあり、研究が盛ん。2022年3月には”3種説”も出ていました。狩りに関しても新たな研究結果が聞けるかもしれません。

 

今回は以上です。ありがとうございました。