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【2022年最新】スピノサウルスの最新の復元図が衝撃的…【復元図の変遷・大きさ・帆の役割etc.】

背中の帆がトレードマークの大型肉食恐竜といえば、スピノサウルス。近年、スピノサウルスについての研究が大きく進んでいます。

 

スピノサウルスは有名な恐竜の1つですが、スピノサウルスを一躍人気者にしたのは、ジュラシックパークでしょう。ティラノサウルスと壮絶な戦いを繰り広げたシーンは、恐竜ファンの記憶に鮮明に焼き付いています。

 

それでは早速、スピノサウルスの"最新の姿"について見ていきましょう。

 

 

 

 

 

スピノサウルスの基本情報

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  • 体長:12〜18m
  • 体重:約20t
  • 生息年代:後期白亜紀
  • 生息地:現在のエジプト、ニジェール
  • 神経棘の長さ:椎体(1個)の長さ = 7.85:1

 

 

 

 

スピノサウルスの復元図の変遷【2022年最新】

 

スピノサウルスは、復元図が大きく変わったことでも有名です。

 

 

①1912年〜1970年頃(最初期):鼻の先が細くない・ゴジラ型

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かなり昔の図鑑の復元図。ゴジラさながらのポーズ。清々しいまでに直立してます。

 

  • ゴジラ型の直立二足歩行
  • 顔が丸い

 

恐竜の研究が進んでなかった頃の復元図は、スピノに限らず、ティラノもアロサウルスも肉食恐竜はみんなこのポーズでした。

 

 

スピノサウルスに関しては頭骨が発見されていなかったため、ワニのようなあの顔ですらありません。

 

 

 

②1980年頃:四足歩行

 

見た目はさほど変わりませんが、1970年代半ば頃から、四足歩行だったと考えられるようになったようです。

 

ディメトロドンのような姿で復元されていたよう。

 

 

③1996年頃〜2014年:鼻の先が細い・二足歩行

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引用:スピノサウルス(Spinosaurus) | 恐竜図鑑

 

 

ザ・肉食恐竜な復元図。スピノサウルスといえば、この復元図が有名なのでは?

 

ジュラシックパーク3で大暴れしたスピノサウルスは、コイツ。ティラノサウルスを死闘の末に下した、作中最強クラスの登場恐竜です。

 

 

  • 前脚が短く後脚が長い、二足歩行
  • 帆の形は半円状
  • 鼻の先が細くくびれている
  • 尻尾は細長い

 

1996年に頭骨が発見され、見覚えのあるワニのような顔で復元されるようになりました。また、頭骨の発見とともに、バリオニクスのような魚食の恐竜だったと考えられるように。

 

体のバランスは、一般的な大型肉食恐竜にならっています。

 

 

 

④2014年〜2020年:後脚が短い・四足歩行・長方形の帆

 

2014年の新しい標本の掲載に基づく形態。大きく印象が変わりました。後ろ足が短く四足歩行です。

 

  • 後脚が短く4足歩行
  • 帆の形は長方形

 

研究の進歩は1980年代とは比較になりませんが、結果的に四足歩行が復活する形になりました。また、帆が長方形状になりました。

 

この帆の形はバショウカジキの背ビレに似ており、泳ぐ際に機能していたと考えられています。 

 

 

⑤2020年〜:S字の首・しっぽが太い

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2020年に新たに発表されたスピノサウルスの復元図は、こんな感じ。

 

  • S字の首
  • しっぽが太くヒレのようになっている

 

 

現在では水棲の可能性が高いと考えられています(反論を含め諸説ありますが)。水中生活に適応した結果、しっぽはヒレのように変化し、手足が短くなっています。

 

一見不恰好ですが、よくよく見るとバランスが良いんですよね。自然の作り出すデザインは、研ぎ澄まされています。(勿論、ここから変化する可能性も大いにあります)

 

 

 

 

 

 

 

スピノサウルスの背中の帆の役割

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スピノサウルス最大の特徴と言えば、背中の帆ですね。脊椎から約2mの「神経棘」という突起が伸びており、ここに帆(突起を覆う形のコブだったという説も、マイナーだがある)がついていたと考えられています。

 

復元図の変遷で見てきたように、2022現在では長方形に近い帆がついていたと考えられています。

 

実は、背中の神経棘の役割はよくわかっておらず、諸説あります。

 

 

体温調節説

 

最も有名なのは、体温調節の役割を果たしていたと言う仮説。

 

スピノサウルスほど体の大きな動物だと、熱が逃げづらいはず。そこで、背中の神経棘には血管が張り巡らされた帆がついており、体の表面積を大きくすることで熱を逃していた、と考えられるわけです。

 

(ただし、むしろ吸熱作用の方が強くなるのでは?という反論も存在。)

 

 

異性へのアピール説

 

現代にも奇抜な姿をしている動物は多くいますが、その多くは異性へのアピールだったりします。クジャクなどわかりやすいですね。

 

スピノサウルスの帆も、交尾の際に異性にアピールするための構造だったのでは?とも考えられます。

 

 

泳ぐ際に利用していた説

 

以前スピノサウルスの帆は半円状に描かれていましたが、近年の研究では長方形に近い形だったとわかってきました。

 

この形は、カジキの背びれのように、泳ぐ際に流体力学的に機能したのでは?と言う説もあります。

 

 

www.rgreyikg.com

 

 

スピノサウルスの尻尾

 

脊椎と同様、尻尾からも神経棘が伸びていました。これにより、尻尾は、上下に高く左右に狭い形状していたと考えられています。

 

ヒレのように太くなった尻尾は、いかにも水中での移動に適していますね。

 

 

ちなみに、2014年の段階でスピノサウルスの復元図は短足になっていましたが、まだこの時点では尻尾は他の肉食恐竜と同様、細く描かれていました。

 

2020年、新たに尻尾の神経棘(高さ60cm)の化石が発表され、現在の復元図になりました。

 

 

 

 

スピノサウルスの手足

 

スピノサウルスの手足は、前脚・後脚ともに短かったと考えられています。

 

前脚には、3本の強力なかぎ爪がついており、狩りの際に使用されたと考えられています。

 

後脚は、水のある環境の不安定な地面に適応し、足の裏が波打っていた可能性もあるよう。また、水かきがついていた可能性も指摘されています。

 

 

 

スピノサウルスの頭骨

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スピノサウルスの頭骨の長さは、1.6〜1.68mと推定されています。ティラノサウルスの頭骨が1.5mほどなので、前後に長いことも加わりティラノをしのぐサイズになっています。

 

スピノサウルスの鼻先は細く、くびれていました。現生のワニガビアルに似ています。

 

 

 

 

スピノサウルスは魚食恐竜?肉も食べてた?

 

スピノサウルスは、水辺に生息し、魚を食べる魚食恐竜だったと考えられています。

 

しかし、完全に魚食だったとは限らず、近縁のバリオニクスの胃の化石からイグアノドンの幼体の化石が見つかったことから、陸生動物や死肉など幅広く食べていたのでは?と考えられています。

 

 

 

まとめ

 

ジュラシックパークの頃と比べるとギャップがすごいスピノサウルス。これからの研究の進展に目が離せませんね。