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ティラノサウルスは3種類いた⁉︎インペラトール&レジーナ【グレゴリー・ポール】

2ティラノサウルスは実は3種いたのではないか?こんな説が出ているようです。

 

恐竜好きの皆さん、ティラノサウルスの別の呼び方といえば、何が思い浮かびますか?そう、T-REXですよね。

 

このT-REXというのは、ティラノサウルス・レックスの略。ティラノサウルスが属名、レックスが種名になります。これまで、ティラノサウルスといえばT-REX、つまり「レックス種」しか知られていませんでした。

 

ところが2022年3月、ティラノサウルスは3種いたのではないか?という説が発表されたのです。詳しく見ていきましょう。

 

 

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属と種の感覚の補足をちょっとだけ。

 

  • 現生人類ホモ・サピエンス…ホモ属サピエンス種
  • ネアンデルタール人…ホモ属ネアンデルターレンシス種

哺乳類と爬虫類、研究が進む現生種と研究が難しい絶滅種、現生人類の特異性…など条件が異なり、一概に同じ尺度としては比較できませんが、

属・種の感覚はそんな感じです。

 

もうちょい例を出すと、

  • ヘラクレスオオカブト…ディナステス属ヘラクレス種
  • ネプチューンオオカブト…ディナステス属ネプチューン種

 

  • ライオン…パンセラ属レオ種
  • トラ…パンセラ属チグリス種

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グレゴリー・ポールによる新説の概要 ティラノサウルス3種説

 

今回の新種説が発表されたティラノサウルスは、新しく発見されたわけではありません。恐竜研究者グレゴリー・ポール氏らアメリカの研究チームが、これまでに発見されたティラノサウルスの化石を調べたところ、レックス種とは異なる特徴を持つ個体が含まれていた、というのです。

 

具体的には、

ティラノサウルスは大腿骨のタイプや切歯の数、生息年代で3タイプに分けることができ、これらは成長段階や個体差による違いでは説明がつかない、よって3種に分類し直した方がいいのではないか?

というもの。

  • ティラノサウルス・インペラトール
  • ティラノサウルス・レジーナ
  • ティラノサウルス・レックス

新説の分類案は上記の通り。

 

研究チームは、大腿骨が頑丈なものをインペラトール種、華奢なものをレジーナ種と名付け発表しました。インペラトールは「皇帝」、レジーナは「女王」を意味します。ちなみにレックスは「王」という意味です。いずれも上に君臨する者の名、かっこいいですね。

 

 

ティラノサウルス・インペラトール&ティラノサウルス・レジーナ

 

3タイプそれぞれの特徴をまとめました。

 

ティラノサウルス・インペラトール

ティラノサウルスの標本 - Wikipedia より引用 スーの骨格標本

特徴

  • 大腿骨が頑丈
  • 切歯が2本

該当標本

  • スー
  • バッキー
  • Bレックス

 

最も生息年代が古いタイプ。大腿骨の長さ/周囲が2.4以下。

 

 

 

ティラノサウルス・レジーナ

ティラノサウルスの標本 - Wikipedia より引用 ワンケル・レックスの骨格標本

特徴

  • 大腿骨が華奢
  • 切歯が1本

該当標本

  • ブラックビューティー
  • スタン
  • ワンケル・レックス

 

生息年代が新しい。大腿骨の長さ/周囲が2.4以上。

 

 

ティラノサウルス・レックス(T-REX)

ティラノサウルスの標本 - Wikipedia より引用 ホロタイプの骨格標本

特徴

  • 大腿骨が頑丈
  • 切歯が1本

該当標本

  • ホロタイプ(CM 9380)
  • スコッティ
  • 旧ディナモサウルス(現在はシノニム)

 

大腿骨の長さ/周囲が2.4以下。

 

 

 

ティラノサウルス3種説の現時点での評価(2022. 6時点)

 

ここまで聞いて一番気になるのは、本当に新種なのか?ですよね。

 

結論から言うと、「現時点(2022.6)では新しい2タイプは新種とは認められていない」です。

 

研究チームが、今回の特徴が異なる個体を新種と主張する主な根拠は、「大腿骨の太さ」。研究チームは、これらの骨の違いは成長段階や個体差では説明できない、としています。また、大腿骨が頑丈なタイプが古い地層からしか見つからなかったこと、大腿骨が華奢なタイプおよび既知のT-REXが新しい地層から見つかっていることも理由に挙げています。

 

グレゴリー・ポール氏らの主張

  • 大腿骨、切歯、生息年代などで3タイプに分けられる
  • これらの骨の違いは成長段階や個体差では説明できない

 

これに対し、否定的な意見もあります。

 

批判的な意見

  • 死んだ年齢を決定する、骨の断面分析をしていない(古生物学者リンジー・ザンノ)
  • 大型種では個体差や成長過程との形の違いが大きい
  • それぞれが発見された地層の正確の古さが絞り込めていない(古生物学者トム・ホルツ)

 

 

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既知のレックス種だったとしても、地層の新旧による形の違いは興味深い特徴。華奢な大腿骨は、ティラノサウルスの形態の多様化の最先端にあったものと考えられます。

 

さらに、古生物学者スコット・パーソンズ氏は、「ティラノサウルスが1種類だけでないことは、自信を持っていえる」という旨の発言もしているよう。

 

今回の3種説の分類法が、採用されても変わっても、いずれはティラノサウルスが複数種に分けられる日来るかもしれません。

 

 

 

今回は、以上です。ありがとうございました。