「薬剤師の転職で有利にはたらく資格や経験、スキルがあれば知りたい」
こんな方むけです。
一昔前までは薬剤師資格を持っていれば転職は簡単と言われていました。しかし現在では、転職する薬剤師の増加やコロナ渦の影響もあり、薬剤師転職の難易度が格段に上昇。薬剤師であればすぐに転職できる時代は終わりつつあると言われています。
本記事を読めば、薬剤師転職が難しくなった現在においても有利に転職活動を進められる資格や経験スキルについて知ることができ、とるべき行動が分かります。
- 薬剤師転職で差別化が必要な理由
- 薬剤師転職で有利に働く資格経験スキル

薬剤師転職において差別化が必要なワケ
薬剤師の転職が難しくなってきた背景には以下のような原因が挙げられます。
- 薬剤師数の増加
- 転職する薬剤師の増加
- 新しい制度の登場
- 高齢化による需要の変化
- コロナ渦による雇用主の経営悪化
1つずつ見ていきましょう。
薬剤師数の増加
資格と言う強み、高収入などの理由から薬剤師は人気の高い職種。全国の薬剤師の数は増え続け、2018年には遂に30万人を突破。これからも増加し続けることが予想されます。
また、1つの薬局あたりの薬剤師の数も増加傾向に。 厚生労働省のデータによると、1996年頃から、「薬局数の増加率」に対し「1薬局あたりの薬剤師数の増加率」が大きくなり始めています。
薬剤師一人当たりの1日に受付可能な処方箋枚数に上限(40枚)があることから、今のところ求人を出している薬局もまだまだ多いです。しかし、調剤作業の機械化などの影響で需要は減少し、薬剤師が飽和状態になることも予想されます。
転職する薬剤師の増加
以前の日本では「新卒で入った職場に一生勤めあげる」といった終身雇用が一般的でした。しかし現在では考え方が変わってきており、転職への抵抗感やハードルは格段に下がったと言えるでしょう。この傾向は薬剤師も例外ではなく、薬剤師の転職市場はどんどん活発になっています。
さらに、2006年度から始まった6年制薬学部出身の薬剤師が転職市場に登場し始めたことから、転職を希望する薬剤師は「数」「質」ともに上昇し続けることでしょう。他とは違うスキルや経験を持つことでの差別化が必要とされてきます。
「かかりつけ薬剤師」など新しい制度の登場
2016年4月から「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。「かかりつけ薬剤師」とは、1人の患者の薬の管理や健康の相談などを継続的に行う薬剤師のこと。かかりつけ薬剤師になるためにはいくつかの項目を満たす必要があり、逆に言えば「かかりつけ薬剤師」の項目を満たすことは、専門性の高さを意味します。
新しい制度に対応可能なプラスαのスキルや経験があることで、他の薬剤師との差別化が可能に。自分から行動する薬剤師が増えるにつれ、プラスαのスキルや専門性は、「あれば有利」から「無いと不利」な時代へと変わっていくことが予想されます。
高齢化による需要の変化
高齢化が進む日本では、自分で病院や薬局に行くことが難しい患者が増加していくことが予想されます。このような来院・来局が困難な患者に対するサービスとして「訪問薬剤師」の需要が増えつつあります。調剤薬局への転職を希望する場合、在宅訪問業務の経験などがある薬剤師は、重宝されやすいといえます。
コロナ渦による雇用主の経営悪化
上記に述べたように薬剤師の飽和、+ αのスキルや経験の必要性などから薬剤師転職は難しくなる傾向に。そしてこの傾向に拍車をかけたのが、新型コロナウィルス感染拡大です。
感染を防ぐため来院、来局する患者が減少傾向に。すると病院や薬局の経営が悪化し、人員整理、新しい募集の停止などに踏み切った企業も。
もちろん求人を出し続けている企業は多くあり、まだまだ転職は可能。とはいえ今後の新型コロナ感染状況によって、薬剤師転職の難易度も左右されることが予想されます。早めに行動開始したり、差別化できるスキルを身につけたりすることで、有利に転職できるのは間違いないでしょう。
資格経験スキルがあれば、重宝され収入アップの可能性も
- 病院や薬局、企業が出している薬剤師の求人=需要
- 転職を希望する薬剤師=供給
上記のように考えた場合、「需要」が不安定な状況に対し「供給」の方は増え続ける傾向にあるといえます。増加する転職希望の薬剤師の中で有利に転職するためには、周りの人にはない資格スキル経験を身に付けることが必要不可欠になってきます。

逆に、周りと差別化できる資格やスキル経験があれば、転職しやすいだけでなく就職後も重宝されやすくなると言えるでしょう。収入アップなど、待遇が良くなる可能性も充分期待できます。
薬剤師転職で有利に働く資格経験スキル
薬剤師転職で有利に働く資格経験スキルについて具体的に挙げていきます。どのような条件が有利にはたらくのか見ていき、そこから具体的に取得すべき資格を考えていきましょう。
Q1: これから薬剤師転職では、どんな経験やスキルが有利になる?
薬剤師数の増加や制度の変化、社会的な変化を踏まえ、以下のような経験やスキルが薬剤師転職に有利にはたらくと考えられます。
訪問薬剤師
高齢化が進むにつれ、自力で来院・来客することが困難な患者の増加が予想されます。すると、患者の自宅などで訪問医療の業務を行う「訪問薬剤師」の需要が高まると考えられます。訪問薬剤師の業務は、通常の薬局薬剤師が兼任して行うことが大半。調剤薬局への転職を希望する場合、在宅訪問業務の知識や経験があれば、対応できる業務の幅広さのアピールにつながり重宝されやすいと考えられます。
かかりつけ薬剤師
「かかりつけ薬剤師」とは1人の患者の薬の管理や健康の管理を継続的に行う薬剤師のこと。「かかりつけ薬剤師」と言う名前の資格があるわけではありませんが、かかりつけ薬剤師になるためには以下の要件を満たす必要があります。
- 薬局勤務経験が3年以上ある
- 勤務先の薬局に週32時間以上勤務している
- 勤務先の薬局に1年以上在籍している
- 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得している
- 医療に関わる地域活動に参加している
かかりつけ薬剤師は患者の指名制。上記の要件を満たし、患者に指名された薬剤師が「かかりつけ薬剤師」としての業務を行うことになります。
コミュニケーション力
意外ですが、薬剤師業務と直接的に関係なさそうな「コミュニケーション力」も、重宝されるポイントの1つといわれています。調剤薬局の勤務では来局した患者への指導、病院勤務では医師や看護師などとの連携、また販売業としての性質が強いドラッグストアではお客さんへの接客だったりスタッフ間の連携も業務に含まれます。
面接においてコミュニケーション力の高さをアピールできると有利。面接でのコミニュケーションや話し方などに不安がある方は、いちど転職エージェントなどプロに見てもらうことがお勧め。自分では気づいていない話し方や立ち振る舞いの癖などを改善してもらえるので、面接が数段レベルアップすることは間違いないでしょう。
Q2: 具体的に取得すべき資格は?
研修認定薬剤師
研修認定薬剤師とは、一定期間内(新規4年以内、更新3年毎)に所定の単位を取得したことを申請し、認定された薬剤師のこと。日々新しい薬が開発されている医療業界において、薬剤師は生涯にわたり常に学び続けることが必要です。研修認定薬剤師を取得していることは、日ごろから自己研鑽をしており、専門的な知識を持っている薬剤師の証明になります。
研修認定薬剤師は、「かかりつけ薬剤師」の要件の1つ。 1人の患者の薬の管理を全て担う「かかりつけ薬剤師」は、薬剤師としての専門性の高さのアピールにもつながります。

ファルマスタッフ

先行きの見えない薬剤師転職、有利に進める鍵は「行動力」
ただでさえ難しくなっていた薬剤師転職、そこへ新型コロナ感染拡大が拍車をかけ、先行きの見えない時代へと突入しています。とはいえ、困難な状況の中でも賢く効率的な方法を知っておけば、周りに1歩リードすることができます。そして「実際に勉強を始める」「転職活動を開始する」など具体的に行動に移すことで、飽和状態にある薬剤師の中で希少な人材になることが可能。
なんとなく知識があっても、なかなか行動に移せなかったりしますよね。周りを出し抜く位の「行動力」があれば、困難な状況の中でも優位に立てるのは間違いないでしょう。
強みを伸ばし、有利に生き抜こう
本記事の内容は以上。薬剤師転職において有利に働く資格スキル経験をまとめておきます。
✔スキル経験
- かかりつけ薬剤師
- 訪問薬剤師
✔資格
- 研修認定薬剤師
難しさを増す薬剤師転職ですが、差別化できる資格経験スキルを身に付けることで有利に転職を進めることはできます。そして実際に行動にうつせる力もとても重要になってきます。
業種を問わず転職が盛んになった近年ですが、薬剤師資格を持っているあなたは、他の多くの人に比べ圧倒的に強みを持っている事は間違いありません。誇りと自信を持って強みを伸ばし、困難な時代を賢く有利に生き抜きましょう。理想の薬剤師人生を追いかけるあなたを応援します。
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